権威あるグルメガイドで2019年、2020年と連続で星に輝く銀座の鮨店。白木のカウンターが美しい店内は、こぢんまりとして落ち着きがあり、心をゆるりとほぐしてくれる。
「凛にしむら」は、そんな空気感と絶品の鮨で愛される実力店。正統派の江戸前の仕事を前提としながらも伝統だけにとらわれず、客人をもてなすことに心を尽くす、大将の西村英典氏に話を聞いた。

真摯な仕事で鮨通を魅了する銀座の名店〈凛にしむら〉

魚は天然物にこだわり、豊洲市場の信頼する仲買から最良と思うものだけを仕入れる。酢飯の米は岩手県の「遠野(とおの)4号」。小さな農家が手間暇かけて育てた米は、しっかりと存在感があり、鮨ダネを大きく切りつけても負けることがない。食材や調理法へのこだわりは枚挙にいとまがないが、この店の魅力は、西村氏の丁寧な仕事と柔和な人柄を抜きに語れない。

小さな仕事まで心を込めて

編集部
確かな腕前と心地よさで話題のお店と聞きました。ずばり、愛される理由を教えてください。
西村
秘密はないですが(笑)。酢は赤酢2種と米酢をブレンドし、煮切り醤油は数種の醤油などの材料を合わせた後に一週間寝かせています。店で出すものは基本的に全て手作りなので、そういう細かな仕事の積み重ねも喜んでいただける理由でしょうか。

お店の味を自宅で自由に。柔軟な発想から生まれたセット

鮨屋の出前と言えば握りやちらしが思い浮かぶが、西村氏が提案したのは、手巻きを中心とした会席仕立てのオリジナルセット。特筆すべきは、極上の鮨ダネだけでなく、2種類の蛸の煮付けやあん肝煮、付け合わせの胡瓜や沢庵に至るまで、惚れ惚れするほどの仕事が施されていること。自宅で味わえる、この上ない贅沢を紐解いてみたい。

自分が創る意味を考え、この形に

編集部
このデリバリーサービスのために、専用のセットを考案されたそうですね。込めた思いやこだわりを教えください。
西村
ご自宅でも店と同じうまい魚を味わっていただきたい。お酒を飲みつつ、好きなものをつまんでお腹がいっぱいになる。「次は何を食べよう?どんな組み合わせにしよう?」って迷うのも、いいもんだなと思うんです。それで色んな料理を詰めました。

仕込みから提供方法まで、試行錯誤。

編集部
鮨は鮮度も大切ですが、お店とデリバリーとでは、食べ手に届くまでの環境が全く異なります。工夫したことはありますか?
西村
食事までの時間を考慮して、シャリは気持ち柔らかめに炊き、天候に合わせて酢も微妙に加減しています。ネタは店と同じですが、手巻きで食べやすいよう包丁を入れました。鮮度を保つために煮切り醤油や甘ダレは別容器でご用意しました。

「ひと手間」さえ、ないように

編集部
ご自宅では、どんな時間を過ごしてほしいと思いますか?
西村
せっかくのデリバリーですから、みんながテーブルに着いたまま、全ての流れを味わっていただけたら幸いです。そのために、副菜を用意したり、食事中に席を立って火や包丁を入れるなどの「ひと手間」がないように工夫しました。
食卓にはお重のまま出してもよいが、盛り付けるなら刺身や一品料理はお皿の左上を高くすると見映えがよくなる

食卓にはお重のまま出してもよいが、盛り付けるなら刺身や一品料理はお皿の左上を高くすると見映えがよくなる

鮨職人・西村氏が提案する、自宅での手巻きの楽しみ方

お店では鮨ダネに合わせた食べ方を示されることもあるが、自宅では各人の好みで味わえることも醍醐味。西村氏は「家だからできる、自由な楽しみ方をしてほしい」と言うものの、いっそう楽しむ方法を教えてもらった。

手巻きは3分の1サイズに。 たくさんの組み合わせを楽しんで

風味豊かな焼き海苔は築地の専門店のもの。パリッと手で折り、小さめの3分の1サイズに。そうすることで、様々な組み合わせを自由に味わうことができる。シャリは簡単に形を整え、俵型にすると食べやすい。

さらに、西村氏がおすすめする組み合わせをご紹介。手巻きの黄金レシピ、ぜひお試しあれ。

黄金の掛け合わせ

「トロたく」

「トロたく」

手巻きの定番も、大間の天然本マグロで特別な一品に。煮切り醤油がマグロを引き立て、糸のように細かい沢庵と相まって、豊潤な旨みに昇華。
「あなきゅう」

「あなきゅう」

口に入れると淡雪のように溶ける穴子は、長崎県対馬のもの。本来の味がストレートに伝わるように塩で供される。2巻目は甘ダレをつけても◎。
「ウニ&キャビア」

「ウニ&キャビア」

北海道の生ウニ、国産キャビア、本マグロ。見た目の豪華さと口に入れた瞬間の多幸感は群を抜く「THEごちそう」は、デリバリーだけの悦楽。

食べ比べからオリジナルソースまで手巻き以外もおいしさがいっぱい!

「つまみには遊び心が必要だから」と、刺身にキャビアを添えるなど、江戸前鮨ではお目にかかれないメニューも。この他、あん肝煮や烏賊飯など、一品一品が主役級のおいしさで、全てをご紹介できないのが残念なほど。

PICK UP

「2種類の蛸を食べ比べ」

「2種類の蛸を食べ比べ」

甘めに柔らかく炊いた水蛸と、歯応えを残した真蛸。異なる食感と味を食べ比べるのも楽しい。水蛸は一度冷凍して細胞を壊し、時間をかけて蒸し煮に。一方、さっと炊き上げた真蛸は、シンプルに塩で味わうのがいちばん!
「ガリタルソースで味わう牡蠣フライ」

「ガリタルソースで味わう牡蠣フライ」

北海道・厚岸の牡蠣のフライには、タルタルのピクルスの代わりに特製のガリを刻んだ「ガリタルソース」を。濃厚×爽やかさのハーモニーに驚くはず。
「自家製ぷ凛」

「自家製ぷ凛」

茨城県の生産者から卵を取り寄せ、甘さ控えめに仕上げ。なめらかすぎる舌触りに鮨職人の繊細な技が光る。隠れファンも多い一品。

西村氏の提案は、デリバリーの新境地と言えるほど驚きに満ちていた。なぜなら、お店でいただく握りとも、自宅で高級食材を揃えた手巻きとも違う、想像を超えるセットだったから。ハレの日や記念日に、ぜひ極上時間を味わって。

GO Dine 編集部 実食レポ

家でおいしく楽しく過ごすための、特別な「ごちそう」だから。僭越ながら編集部が実食し、その魅力の一端をレポート!

Stylist

竹中

手巻き、そしてデリバリーの概念を変える「唯一無二のメニュー」です。ふっくら炊いた穴子も、絶妙な弾力と柔らかさの車海老も、繊細に切り揃えられた胡瓜まで、職人技の凄さと繊細さにしみじみと感動しました。

Photographer

鮫島

口に入れた瞬間に微笑んでしまう水蛸、絶妙な煮加減のあん肝煮、握ってもらわなくても「おいしい」と声が出てしまう手巻きセット。それらをおうちで堪能できる。子どもが小さい私たちにとって至福のセット!

Campaign
家で味わう贅沢を
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